スタッフ日記
おたより紹介
先日、大阪より今治市へ来ていただいた、katzさんより
桜井石風呂での体験メールをいただきました。
臨場感ある文章や石風呂での交流と知識が楽しい体験記ですので
許可をいただき、掲載させていただきました。
桜井石風呂はただいま好評営業中です。
思いっきり汗をかくと夏バテも吹き飛びますよ。
興味をもたれた方はぜひ一度行ってみてくださいね!
ではkatzさんの体験記をどうぞ。
2008.8.6
蒸気機関車と、もうひとつの目的「桜井の石風呂」は10時と14時の2回、
入浴することのできる、8月9月限定の岩盤浴の祖先だ。
そのシダ敷き準備から火付けの全工程を見たくて、今治発7時のバスに乗った。
8時半には既に、軽トラの荷台に14束の乾燥シダ束が積んであって、
この束を岩盤をくり貫いた洞窟の奥の方から順に左右に7束づつ立てかけた後に
束をばらして部屋一杯に敷き詰める。
天井にある煙突穴を開いて空気の通り道を確保してから、
シダに3ヶ所火を点すと、それまで音の無かった室の中にギシギシバチバチと音を立て始めて、
忽ち炎となって燃え広がって室の中は、まさに火の海と化していった。
冬場に山で刈り取ったシダはこの時期まで倉庫に保管して自然乾燥をまち、
シダは乾燥しきって茶色になったものよりも、まだ青味の残る水分を保ったままの方が
香りが良いのだと言う。また、前の日の天候次第で室の冷め方が左右されるため、
シダが燃え尽きたあとの温度保持に影響が出るのだとも説明を受けた。
シダの準備に30分、それと平行してゴザを海水に浸し、海水を染み込ませる作業が進んでいる。
この海水成分とシダの燃えた成分が体に良いのだと、弘法大師が唱え、
古くは京都から公家がわざわざ来て入浴し、現代では農閑期の農業従事者が
湯治代わりとして汗をかきに来て、1週間もの間宿泊を続けており、炊事もできる宿泊室は
ここの集落桜井の人間で満杯の盛況だったと教えてくれた。
煙は瞬く間に室に充満し、入口からモクモクと吐き出されていく。
気温の層が、下の新鮮空気と上の燃焼空気に挟まれて、凪の水面のように
その中間でユラユラ揺れている。
煙突からはひとつも煙が出ないのは不思議な現象だ。
燃え続けたシダは約20分して落ち着いてくる。それを見計らって、燃え残りのシダを
竹竿で掻き回して燃焼させ、また掻き起こしては燃焼させ、何度か繰り返す、
この頃になると炎は当初の青味を帯びた高温から赤っぽく変化を遂げていて、
燃料の元となるエネルギーを失い低温になっているのが判る。
煙突窓を塞いで蒸気がこぼれ出るのを閉じてから、海水の出るホースを持ち、
消防団の着る防火服で体と頭をくるみ、海水で鎮火の作業を開始すると、
ボワッという堂内から音が繰り返され、程なくしてジューシューという音に代わる。
そして今度はモクモクとした灰色の煙から、蒸気を大量に含んだ白い湯気に代わり、
入口から吹き零れてくる。
海水を撒き終えると、麻布で入口に封をして、熱気と蒸気を堂内に染み込ませながら、
いわゆる蒸らしの状態で火照りを冷ましていくのが30分。
数日前にも全国の岩盤浴を取材している女性記者が来ていたと言いながら、
今日の大阪からの来訪者を品定めするように、三々五々集まった常連客の男女は
もう入室の準備を済ませて長椅子に腰掛けている。
誰かが一番風呂に手をつけて、ほど良い温度に下げて欲しいと願いながら、
また一方では下がり切らない熟した温度をその体一杯に取り込みたいとの葛藤で、
室を覗いてみたり長椅子に座ってみたりを繰り返しながら、おしゃべりを続けている。
これから熱いサウナに入ろうというのに、その人達は長ズボンを穿き、このタイミングで
タオルの頬被リをして、バスタオルを体に巻いて、断熱衣服を急場でこしらえている。
海水をタップリ含んだ濡れゴザの上に、着座専用の乾きゴザを持ち込み、
入室と同時に床に伏せて、手で頭を覆うように耳をガードし、
壁に向かい拝むような格好で高温高湿に耐えるポーズをとる。
現代風のサウナの常識をこの石風呂に持ち込んで立ったり座っていたのでは、
とても火傷になってしまうのだ。
「我慢しようと思わんと、早目に出なあかんよ」忠告に従い、麻布を上げて外に出た瞬間、
頭がクラッとした。外の真夏の熱さにではなくて、外の涼しさに体の調整が追いつかないのだ。
目の前の海につかってクールダウンして、また、おしゃべりをしながら体調を整え、
何度も出入りを繰り返す。室は徐々に温度を下げて真夏の日常温度に同化しようとしていく。
これらの昇温作業と入浴作業をもう1ラウンド行い、2ヶ月間のバケーションを
大昔の人たちが行っていたのだそうだ。
こんな発明をした弘法大師の荒療治は1680年代の書物にきちんと記載があって、
この地方で続いてきたというのだから不思議と言うより仕方が無い。
よく似たものは山口県にもあり海草を敷き詰めるのだとオッチャンは教えてくれたし、
またこの進化したものは京都の八瀬で体験したこともあったが、八瀬の釜風呂は
ここ桜井石風呂を体験した公家が八瀬に再現したものなのだろう。
さらに韓国のハンジュンマクもこれと同じ原理なのだし、
禅寺では最初という妙心寺の蒸し風呂もあって、風呂の歴史の本物はどれなのか、
混を深めていくばかりだ。
katzさんよりの投稿 (大阪府)
桜井石風呂>>
投稿者 TAKEUCHI