今治建築WEB

建築家・伊東豊雄さんと大三島

Text & Photography|宮畑周平(瀬戸内編集デザイン研究所)

大三島にできた、ふたつのミュージアムを訪れる

東京から広島空港へ飛ぶと、40分もすれば窓の外にキラキラと輝く瀬戸内海が見えてくる。静かな海に無数の島々が浮かぶ光景はまるで箱庭のようで、思わず地図を広げてどれがどの島なのかを探してしまう。江戸時代末期に日本を訪れたシーボルトがその美しさを絶賛したのもうなずけるし、現代ではさらに空の上からそれを眺められるのも、実に贅沢な体験だと思う。

大三島・安神山から大山祇神社のある宮浦地区を望む。静かな海の向こうは広島県大崎上島や関前諸島。

大三島はその美しい島々のなかのひとつだ。本州の尾道から四国の今治の間に並ぶ群島──芸予諸島のなかで最も大きい島で、人口はおよそ6,000人。みかんを始めとする柑橘栽培が盛んなところだ。近年、都市部からの移住者が特に多い島としても知られている。

広島空港からレンタカーで大三島へ向かう。山陽自動車道を経てしまなみ海道を走り、大三島までおよそ1時間半。船旅を楽しみたい場合は竹原市忠海港から、四国側からだと今治港からフェリーに乗るという手もある。今回の目的地「今治市伊東豊雄建築ミュージアム」や「今治市岩田健母と子のミュージアム」に行くのには、島内交通のスムーズさで言うとクルマに譲るけれど、ゆっくりとレンタサイクルで回ったり、島内循環バスを使ったりして、より島の雰囲気を楽しむのもおすすめしたい。さて、まずは今治市伊東豊雄建築ミュージアムを訪ねてみよう。